作品紹介
2022.07.21.Thu

ヘアースタジオJO

【自然との新たな関係性をもとめて】

計画された建築は谷あいの町の一角にあり、周囲の自然の中で静かに自己主張をしているようである。この静かな多面体は饒舌には語らないものの、この場所にあって、周囲に対して挑発する箱であろうとしている。
モノリシックなその表情はまわりの風景の中にあり、独自の磁場を形成している。メタルスクリーンの表象は程よくこの建築の内部で展開される生活を外部と遮 断し、建物中央にある螺旋状の階段は建築に浮遊感さえ与えている。ミラーによって取り込まれた緑は建築内部で乱反射し、拡散され、建築を希釈し、フレーム を溶かす。
その結果「建築を消し、」内部空間に場の新たな関係性を持ち込むのである。書家の書がそうであるように、言語はその記号としての意味を超越し、書家の精神 の表象として発せられる。建築もまた固定物であるのもかかわらず、その時の風景と対応し、また見る人の心象の所在によって、変容しつづけるものなのであろ う。

物件概要
所在: 上益城郡山都町
用途: 店舗+住宅
階数: 地上3階建
延床: 252.952㎡
施工: (株)協信総業